歩行介助も介護職の重要な仕事

排泄のためにトイレに行く、食事のために食堂に行くなど、移動は生活の営みを支える重要なものです。新しい場所に行き刺激を受けるなど、生活範囲を広げる手段でもあります。とくに歩行は、自立支援にとって最も重要な能力の1つです。そのため、介護職の仕事に、歩行介助がふくまれています。

介護者はすぐに支援できる場所に立ち、階段では一段下から支えるなど転倒防止に気をつけながら、できるだけ残存機能を活用できるように自立支援します。歩行中は、利用者が痛みを伴ったり、体調の変化がないかを確認することが大事です。杖など、歩行が不安定になったときに使われる福祉用具についても、その特徴を理解しながら、介護職側で適切なものが用いられているかどうかにも配慮します。

杖は、支持基底面を広くし、からだのバランスを取りやすくする福祉用具です。最も普及している杖はT字杖ですが、ほかにもさまざまな種類があり、本人の状態によって選択することが大事になります。杖の長さは杖の先を足先から15cmほど外側において、ひじを軽く曲げて、自然に持てる程度の長さが適切です。本人の状態が変わるなど、杖が合わなくなってくる可能性もありますので、注意深く介護職は観察することも大切です。

また、利用者の歩行をスタートさせる際には、これから歩行することやどこに向かうのか目的地を説明し、了承を得ます。歩行中も声掛けを行いながら、利用者の状態に何か変化がないか配慮します。